20150601初
20160623胡
■語源
「コウゲ」とは、四国の愛媛から中国地方に広く使われる語彙。多くは短い草の生えた土地で、水田はもとより畑にも開き難い所。それ故にしばしば芝の字が宛てられている(綜合日本民俗語彙②p536)。一般に高原の草地の水流に乏しい所。芝、高下、広原などの地名。カゲに同じ(民俗地名語彙辞典上p345)
兵庫県赤穂郡では河原などの芝生を切り取ることをコゲキリ、田の畦などを焼くことをコゲキリという(分類方言辞典)
芝草地のコーゲは全国に分布するが、中国地方東部(兵庫県、岡山県、広島県)に多い。
柳田国男の『地名の研究』にも「中国の各県と四国の愛媛県の一部ではコウゲと称し、これい芝または原などの漢字をあてている。その字の暗示するごとくやや高燥な草原であって、水利の土木業が大いに進まぬかぎり、これを田にする見込はほとんどなくわずかに多雨の年をたよりにして麦豆類を作るか、さもなければいつまでも草原と て草でも刈っているのほかはなかった。それが近世に入って、小面積のコウゲから、おいおいに常畑とし、まれには遠く水を引いて田にもしたのである。」とある(文庫本p65)
四万十町は山間地だけあって焼畑に関係する地名が多い。打井川のコウゲダバは芝草地というより焼畑地であると推理する。ソリ、ハリギ(ハンノキ)、コバなどの地名の分布相関から現地で聞き取りして判読していかなければならない。
■四万十町の採取地
コウゲダバ(打井川の字名)
■町外の採取地
須崎市今川内字公下谷/(コウゲダニ・字名)
土佐清水市布字コヲケ谷/(字名)
岡山県新庄村高下/(コウゲ・大字。高下川)
広島県神石高原町高下田/(コウゲダ・大字) ※岡山、広島の中国山地に多い
山口県美弥市広下/(大字)