20150608初
20170126胡
【沿革】
仁井田大明神の祭祀と仁井田郷の開墾に力を尽くしたのが伊予の国の名家河野一族である。
仁井田五人衆のうち本在家城主東氏、影山城主西氏、志和城主志和氏の三人は河野一族で、その西氏から分かれたのが勝賀野城主勝賀野氏である。勝賀野次郎兵衛益家は土佐物語にも名を馳せる有名な武将で蓮池城址には益家の碑がある。
長宗我部地検帳に「中村勝賀野村」とある。
「明治の合併」といわれる新政府の町村制により、明治22年(1889)3月31日、勝賀野村は同じ仁井田郷の七里村・中村・川ノ内村・北ノ川村・市生原村・一斗俵村・中津川村・米奥村・作屋村と大野見郷の日野地村・秋丸村が新設合併し「松葉川村」となった。
昭和30年(1955)1月5日、高岡郡松葉川村は、 窪川町・仁井田村・東又村・ 興津村と 合併し新設「窪川町」となった。
平成18年(2006)3月20日、高岡郡窪川町と幡多郡大正町・十和村が合併し新設「高岡郡四万十町」となる。
【地誌】
旧窪川町の北部。四万十川の支流勝賀野川流域の地域。大小権現山に発した勝賀野川と、西流する楠谷川との合流点あたりをいう。集落は山際に点在する。県道323号作屋影野停車場線が通る。日吉神社がある。
(写真は1975年11月撮影国土地理院の空中写真。写真中央部、南流する勝賀野川と楠谷川の合流点周辺が勝賀野地区)
【地名の由来】
【字】(あいうえお順)
アマムカエ、石神ノ向、石ソ子、岩谷、ウシ谷、馬越、梅木谷、ウルシガ市、大谷、大平、沖分、カイマエ、カキノキサイノ、カチノクボ、上谷、上谷山、神田、キタゴイダニ、木ノ下、楠ノ木屋敷、栗ノ木、耕地整理地区、五助谷口、五助山、小高シロ、小屋谷口、コヤノダン、サカノ谷、坂本谷、作ノ花、笹野、サルカエリ、下モスカ、下谷、神田ノ上山、高ウ子、高シロ口、竹賀谷、忠太谷、ツエ谷、寺内谷、寺ケ谷口、土井上、仲野谷、中谷口、ナシノ木谷、西ノ谷、ヌタノハタ、畠ケ田、畠ケ谷、ハタ山、檜ダバ、深谷、ホコノモト、松本、美野越シ、ミヤノタニ、向神田、目サフロ、弥十郎作、柳田、山柿、ヲチアイ、ヲチハタセイモト【64】
(字一覧整理NO.順 勝賀野p63~64)
1ウルシガ市、2木ノ下、3向神田、4高シロ口、5小高シロ、6美野越シ、7高ウ子、8栗ノ木、9、柳田、10アマムカエ、11楠ノ木屋敷、12小屋谷口、13大谷、14大平、15ヌタノハタ、16忠太谷、17サルカエリ、18岩谷、19仲野谷、20坂本谷、21笹野、22深谷、23梅木谷、24ウシ谷、25ヲチハタセイモト、26ナシノ木谷、27ツエ谷、28目サフロ、29ヲチアイ、30ハタ山、31石神ノ向、32畠ケ田、33檜ダバ、34カイマエ、35馬越、36下モスカ、37カキノキサイノ、38中谷口、39カチノクボ、40作ノ花、41弥十郎作、42神田、43五助谷口、44五助山、45下谷、46寺ケ谷口、47山柿、48松本、49石ソ子、50沖分、51ホコノモト、52コヤノダン、53西ノ谷、54ミヤノタニ、55キタゴイダニ、56サカノ谷、57竹賀谷、58西谷(再掲)、59神田ノ上山、60上谷山、61寺内谷、62土井上、63耕地整理地区、65馬越(再掲)、66カキノキサイノ(再掲)、67カチノクボ(再掲)、68畠ケ谷、69美野越(再掲)、70サカノ谷(再掲)、71竹ガ谷(再掲)、72上谷
【ホノギ】
〇「天正拾六年 仁井田之郷地検帳」 ※本在家之内陰山之村から検地が始まる
▼是ヨリ中村勝賀野村(地検帳仁p75/検地:2月5日) ※中村勝賀野村と併記している。中村分を終えてから勝賀野分へ
▼是ヨリ川ヲ南路ヘ渡テ付(地検帳仁p78/検地:2月5日)
ウルシカイチ、山ノ根、川クホ、ウルシカイチ、クロノモト、竹ソヘ山、カミカワクホ、ウルシカイチ、ミソナカ、井ノ上井ミソ
▼是ヨリ川ヲ北路ヘ渡テ付(地検帳仁p79/検地:2月5日)
仏ノクホヱノ木ノモト、ウツケソエ、ミヤウセサイノウ、東マヱサイノウ、桑木サイノウ、前サイノヲ、ヲウサイノウ、木ノシタ、マヱサイノヲ、ハコノ木、ミスミタ、新左古ヤシキ、中マヤシキ、五良九良ヤシキ、ヲキフンヤシキタ
▼是ヨリ跡ヘモトリ道ノ北ヲ付(地検帳仁p81/検地:2月5日)
与兵衛ヤシキ、ソウカヤシキ、トウイフン、七左衛門ヤシキ、孫大夫ヤシキ、ホコノモト、忠七ヤシキ、中三良ヤシキ、サキヲカ、コヤノタン、北ヤシキ、鳥居ノモト
〇「高岡郡仁井田郷地検帳」 ※この簿冊は、「是ヨリ宮ノ谷(九日)」と初書されている。
▼是ヨリ宮ノ谷(地検帳仁p158/検地:2月9日)
堂ノモト、シロキレ、宮ノ谷、東浦、大キレ、ホンテン、イシソ子、イケタ、般若田川フチ、石ソ子、シヤウチクチ、竹ノウシロ、トヒノコウ
▼是ヨリ又川ヲ南路ヘ渡テ付(地検帳仁p160/検地:2月10日)
ムカイコウタ、タカシロ谷、栗ノ木野、柳田、川渡瀬、アマカムカイ、大ヒラクチ、コヤノ谷
▼是ヨリ又川ヲ北路ヘ渡跡ヘ返テ付(地検帳仁p161/検地:2月10日)
楠木山ヤシキ、楠木山、コワト、大ヒラクチ谷、大ヒラ、五タノハタクチ谷
▼是ヨリ又ヲトハタ谷ノセイモトヨリ付(地検帳仁p161/検地:2月10日)
ヲチハタ谷
▼是ヨリササノコエ坂ノ西ウラヲリ□ヨリ付(地検帳仁p161/検地:2月10日)
サヽノコエ坂
▼是ヨリ又北ハ三良谷ノセイモトヨリ付(地検帳仁p162/検地:2月10日)
メサフラウ、三良谷、ヲチハタ、石神ノ前、ハタケタ、ホンテン、クワンホウ、ヒカケ、丸尊坊、カイマイ
▼是ヨリ勝賀野□□ソリ(地検帳仁p163/検地:2月11日)
カチメン、タカシロ
▼是ヨリ又アンノマエヲ付(地検帳仁p163/検地:2月11日)
アンノマエ、忠犬ヤシキヲカサキ、アシヤリヤシキ、大モン、大光寺寺中、ヲカノアイ、シタノシモヲカ、ウエノシモヲカ、勝賀野土ゐ
▼是ヨリ又中谷ノセイモトヨリ付(地検帳仁p164/検地:2月11~13日)
中谷セイモト、梶ノ木ノ下、柿ノ木ノモト、ク井ノモト、ハチノクホ、川原タ、中ソリ、クロノモト、タイタウシリ、キヽヤウノクホ、野ソイ、両頭庵、モリヤノ谷、柚木サイノヲ、子キ田、シユシヤウテン、カケチ
▼是ヨリサウサノ谷ヘ入(地検帳仁p166/検地:2月13日)
イノハナ、サウサノ谷
▼是ヨリ又北ノ谷へ入(地検帳仁p166/検地:2月13日)
サウサコエ谷、シモミソ
▼是ヨリ又谷口エ出テ付(地検帳仁p166/検地:2月13日)
クリミノクホ、カミカチヤ、道国ヤシキ
▼是ヨリ又川ヲ西路ヘ渡テ山ノ下ヲ付(地検帳仁p166/検地:2月13日)
柳タ、ヒカケ、竹ノクホ、フマテン
▼是ヨリ又西ノ谷ヘ入(地検帳仁p167/検地:2月13日)
シナイ谷、西ノ谷、ソウタ小見堂、カウタノ前、桧木ノモト、コスケ谷、スコケカイチ、中ハラ
▼是ヨリ勝賀野手作分ヲマタケテ西山ノ根ヲ付(地検帳仁p167/検地:2月13日)
山下クロノモト、下山カキ、松ノモト
【地検帳の寺社】
大光寺、宝福寺、長福寺、光明寺
ハイタカ、天王、イワイ神、山王、大山大明神、白王、ミヨウタイ権現、
【通称地名】
【山名】
山名(よみ/標高:)
【峠】
峠(地区△地区) ※注記
【河川・渓流】
勝賀野川(河川調書)
楠谷川(河川調書)
川の内川(橋梁台帳)
宮ヶ谷川(橋梁台帳)
五助谷川(橋梁台帳)
【瀬・渕】
【井堰】
【城址】
【屋号】
【神社】 詳しくは →地名データブック→高知県神社明細帳
■長宗我部地検帳(1588天正16年:佐々木馬吉著「天正の窪川Ⅱ」)
「中村勝賀野村」と呼ばれ中村・勝賀野の両部落を併せて一村としている。
検地日は、天正16年2月7日、8日(同p582)
・神社
日吉神社(村社/勝賀野字土井上鎮座)/合祀:須賀神社、白皇神社、山津見神社
竈戸神社、八幡宮、正賀野霊社
・寺院:大光寺
■州郡志(1704-1711宝永年間:下p287)
勝賀野村の四至は、東西三町南北十二町其土黒 中村
山川は、楠木谷、城之谷、平山、條谷
寺社は、大光寺、牛頭天皇社、山王社、白皇社
古跡は、城址として「相傳勝賀野右衛門佐者所居」とある。
■郷村帳(1743寛保3年)
寛保3年に編纂した「御国七郡郷村牒」での勝加野村は、石高229.536石、戸数33戸、人口158人、男84人、女74人、馬14頭、牛11頭、猟銃0挺
■南路志(1813文化10年:③p339)
186勝加野村 仁井田郷本堂之内、又云本在家郷十二村之一也 地二百四十二石四斗三合
三王権現 土居ヤシキ 祭礼九月廿日
牛頭天王 宮カ谷 祭礼九月廿日
祖母神 中分 祭礼九月廿日
白王 ユスケヤシキ 祭礼九月十八日
白王 祭礼九月廿日
大山大明神 タカシロ山 祭礼九月廿日
加茂大明神 正体木形 祭礼九月廿二日
地蔵 無佛体
光明寺 中村 ※「中村」の項に記載
大光寺 退転
土居 勝賀野衛門尉居レ之。
采地弐百四拾壱石四斗六舛弐合、土居床廿四代ニ住、西庄司和泉守幕下也。(詳細は同書③p274)
■ゼンリン社(2013平成25年)
p18:勝賀野、勝賀野川、県道作屋影野停車場線、勝賀野橋、笹越隧道、日吉神社、Ю中勝賀野、Ю奥勝賀野
p22:勝賀野、勝賀野川、県道作屋影野停車場線、勝賀野橋
■国土地理院・電子国土Web(http://maps.gsi.go.jp/#12/33.215138/133.022633/)
勝賀野、笹の越隧道
■基準点成果等閲覧サービス(http://sokuseikagis1.gsi.go.jp/index.aspx)
なし
■高知県河川調書(平成13年3月/p58)
勝賀野川(しょうがの/四万十川1次支川勝賀野川)
左岸・左岸:川ノ内字川原田5
河川平均延長:5,835m / 8.03Ak㎡ / 6.8 Lkm
楠谷川(くすのきだに/四万十川1次支川勝賀野川2次支川楠谷川)
左岸:勝賀野字アマムカエ72
右岸:勝賀野字畠ヶ田242
河川平均延長:350m / 1.41Ak㎡ / 1.3 Lkm
■四万十町橋梁台帳:橋名(河川名/所在地)
松ノ本橋(宮ヶ谷川/勝賀野字松ノ本417-2)
勝賀野橋(勝賀野川/勝賀野字カイマエ251-2) ※河川調書では楠谷川となる。
川の内橋(川の内川/勝賀野字五助谷口373-4) ※河川調書では勝賀野川となる。川の内川は誤記載
石神ノ向橋(勝賀野川/勝賀野字イシカミノ向251-2) ※河川調書では楠谷川となる。
梅木谷橋(不明/勝賀野字梅木谷620-9)
■四万十町広報誌 (平成27年6月号)