よくある地名の語源 「な」


なごち(名子地)

■語源

 ホノギに「名子地」とある。上山郷吉川村の長宗我部地検帳では、比定された「カクレヤブ」、「サウカ谷(宗川)」の附近に「名子地(奈路地)」とあることから、名子地が転訛したものと思われる。

 名子とは、中世、名主に隷属した下層農民で、近世には多く本百姓になったが地方によっては本百姓と隷属関係が残された。東北日本の名子制度は一揆が起こるほで自立には困難が伴ったが、西南日本では生産性が富み、自立がなされたとある(日本民俗文化大系⑧p111)。

 「名子地」は名子の独立過程でうまれた地名であろう。四万十町内では、このほか木屋ケ内地区に「名子地」のホノギがある。二つの名子地は不思議である。

 

 この吉川村の名子地のホノギの近くに、「イチノサコ」、「ウバやしき」がある。イチ、ウバとあることから地検帳に「佾給」と書かれる「佾(イチ)」ではないかと思われる。→参照「イチ地名の謎」

 

■四万十町の採取地

名子地(吉川村のホノギ・芳川の字奈路地に比定)

名子地(小屋河内村のホノギ)

 

■四万十町外の名子地の採取地

名子(岩手県雫石町)

名子(福井県敦賀市)

名子(福岡市東区)