地名のお話

四万十町地名辞典の編集子が、備忘録としてメモする「地名のお話」

暮らしには話題とならない「地名」ですが、ちょっと寄り道してください。


地名文化財 シリーズ

 「地名は大地に刻まれた小さき人の過去の営為」といったのは民俗学者の谷川健一である。

 地名はモノとしての文化財と違ってぞんざいな扱いを受けているが、暮らしの中で、数百年少しの変化を加えながら、使われる用の美を感じることができる。その時代における集落や人の生業、往来の姿を読み取れることができるのが面白い。

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大地を刻む シリーズ

 地名は大地に刻まれた二人以上のコミュニケーション符号。祈りの地名、往来の地名、境界の地名、危険を周知する地名などいろいろ。   →もっと見る 大地を刻む

亡所考 シリーズ

 『日本残酷物語』刊行のことばに「これは流砂のごとく日本の最底辺にうずもれた人々の物語である。自然の奇跡に見離され、体制の幸福にあずかることを知らぬ民衆の記録であり、異常な速度と巨大な社会機構のかもしだす現在の狂熱のさ中では、生きながら化石として抹殺されるほかない小さき者の歴史である。・・」

 この生きながら化石として抹殺されるほかない小さき者の歴史である」と書いたのが谷川健一であったことを初めて知った。この書が発刊されて半世紀。その第二弾ともいえる「亡所考」が月刊『世界』に連載されている。北條勝貴は「自然災害や権力の抑圧などによって失われた場所、人びと。これを「亡所」として捉え、現代社会に回復させることを試みる。」としている。このシリーズを「亡所考」としたのはこれによるもので、編集子は地名版の「亡所考」を試みる。

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土佐の旅人 シリーズ

 地名の記録は歩くことから始まる。四千万歩を歩いた男・伊能忠敬は文化5年(1808)土佐路を歩いた。歩く巨人・松浦武四郎は18歳で四国遍路を行い『四国遍路道中雑誌』を表わした。土佐の民俗学者・桂井和雄は土佐一円を歩き「小さき者の歴史」を記録していった。  →もっと見る 土佐の旅人

暮らしを刻む シリーズ

 山の暮らしは、長い歳月で山を培う開拓者であるとともに、山を畑としてその実りを頂戴し加工して山道をたどって売り歩く1年サイクルの総合商社員であり、山の中で必要なものを自らがやりとげる技を磨き合う職人集団でなりたっている。

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