愚草の川柳集⑧

 

鬼哭

 

 

2016年冬


【編集子選】

メビュウスの環をひねりて遍路ゆき

 

星条旗見掛けぬ星が一つ増え

 

※共感する二句である。四国遍路にむかう動機はいろいろあるだろうが編集子は退職者の通過儀礼といったとこか。なかにはこのメビウスの輪のようにエンドレスな周廻をする、村を失ったもの、不治の病の者など死国ときめて漂泊するものもいた。メビウスの帯のおもしろいところは表と裏がないところ。

※愚草が日本を51番目の「星」と詠むほど、アメリカにおもねっている姿がみえる。編集子の上空にも米軍輸送機が夜間低空飛行を続けている。

※愚草のあとがき「夜郎自大」。稀代の罰当たり野郎に呪いあれと糾弾する。編集子も同感で、祖父の膝で育ったぼうやは尊大な態度をとる大人になり「云々(でんでん)」というその人、顔見るだけで虫唾が走る。


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