四国樹木名方言集

 

昭和11年(1936)10月5日発行

編集・高知営林局  編纂者・和田豊洲

国立国会図書館デジタルコレクション

 

 

 四国樹木名方言集は今から80年以上の昔、高知営林局計画課植生係の和田豊洲氏が地方ごとに樹木の呼び名が違うことで植生調査が容易に進まない思いから、公務の傍ら四国管内国有林の樹木の方言名を収集した記録集です。

 本書は樹木・竹類の科ごとに目次をかかげ、通し番号・和名・学名・方言・形態の項目により詳しく記録された労作です。その数、樹木数で509の名称を集成。

 国有林野が高知県に多く所在することから高知県が多く、その方言樹木名数1,632となっています。

 県下の方言とはいえ、国有林野の所在する市町村が主で、田野町、安田町、土佐市の記録は見あたりません。

 和田氏は「国有林所在地ニ於ケル方言ニヨリテ之等ノ正確ナル和名及学名ヲ検索シ又和名ヨリ方言索求ヲセントスル場合ノ便ニ供セントスルモノナリ」とのべ、一つの方言が数種の樹木を呼称することもあり判定に迷いながら集成したと当時の困難な作業をうかがうことができます。

 

 

 四万十町地名辞典の編集子は樹木名や方言名称が微細地名であるホノギや字名に刻まれた経過や分布を調べるため「四国樹木名方言集」をデータ化したものです。、

 「国樹木名方言集」が出版され80年。山に入らなくなった暮らしの変化から方言としての呼称も衰退し、また人の流れの変化から新たな方言名称に転訛したものもあるかもしれません。

 下記のデータ化したファイルにより、樹木方言名の県下の分布、字名との相関を見える化することができました。多くの人に利用して、その変化や名称の相違等を点検していただき、感じることがあればメールをお願いしたいと思います。

 国樹木名方言集」のデータ化にあたっては、当時の村名を現在の市町村名に改めました。四万十町でいえば国樹木名方言集」に掲載される町村名は窪川村・松葉川村・興津村・大正村・昭和村の4か所です。また、当時の仮名遣いも現代仮名遣いに読み替えました。なお、掲載されている当時の高知県下の自治体名称は次のとおりです(カッコ書きは現在)。

 ■安芸郡

野根村(東洋町)、羽根村(室戸市)、奈半利村(奈半利町)、北川村(北川村)、馬路村(馬路村)、畑山村(安芸市)、東川村(安芸市)

 ■香美郡

美良布村(香美市)、在所村(香美市)、槇山村(香美市)、上韮生村(香美市)

 ■長岡郡

上倉村(南国市)、天坪村(大豊町)、東豊永村(大豊町)、西豊永村(大豊町)、本山町(本山町)、吉野村(本山町)

 ■土佐郡

地蔵寺村(土佐町)、大川村(大川村)、本川村(吾川郡いの町)、土佐山村(高知市)

 ■吾川郡

富岡村(仁淀川町)、小川村(いの町)

 ■高岡郡

佐川町(佐川町)、尾川村(佐川町)、須崎町(須崎市)、半山村(津野町)、下半山村(津野町)、東津野村(津野町)、梼原村(梼原町)、久礼町(中土佐町)、上ノ加江村(中土佐町)、窪川町(四万十町)、松葉川村(四万十町)、與津村(四万十町)

 ■幡多郡

大正村(高岡郡四万十町)、昭和村(高岡郡四万十町)、佐賀村(黒潮町)、白田川村(黒潮町)、七郷村(黒潮町)、入野村(黒潮町)、田ノ口村(黒潮町)、後川村(四万十市)、富山村(四万十市)、大川筋村(四万十市)、津大村(四万十市)、中筋川村(四万十市)、宿毛町(宿毛市)、山奈村(宿毛市)、橋上村(宿毛市)、小筑紫村(宿毛市)、奥内村(大月町)、月灘村(大月町)、三原村(三原村)、清水町(土佐清水市)、三崎村(土佐清水市)、下川口村(土佐清水市)、伊豆田村(土佐清水市)

 

 

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