【民俗地名語彙辞典】(松永美吉1994三一書房)
湿地(阿ノ浦、阿ノ津)[日本の地名]。アは湿地であるとしているが、積極的な根拠はない。
【地名語源辞典】(山中襄太1968校倉書房)
アテラ沢とは「日かげ沢」を意味する。ア・テラと分解して、テラを照(テラ)と考え、アを否定の接頭語と考えると、ア・テラは「不・照」(照らない)の意となって、すなわち「日かげ」の意味になる。a-mita(阿弥陀、無量寿、はあり得ない、無限の時間空間)、a-tom(分解することができない、すなわち原子)などのA-である(あてらさわ/p28)
【地名用語語源辞典】(楠原佑介1983東京堂出版)
①接頭語。特に意味はないか ②湿地[鏡味]。あるいは、アクタ(芥)の略か ③網場、漁場の意[松尾]。アミ(網)の略か ④アゼ(畦)の略か ⑤アグ(上)、アフグ(仰)、アニ(上)などの語幹のアで、「上」の意か
【全訳読解古語辞典】(外山映次2007三省堂)
①あ<足> あし(足・脚) ②あ<吾・我> わたし ③あ<彼> あれ。あちら
【日本語オノマトペ辞典】(小野正弘2007小学館)
あーん ①口を大きくひらくさま ②子供などがあたりをはばからずに大声で泣く声
あぐり 口を大きくあくるさま
あけらかん あきれたり何かに気をとられたりして、口を閉じるのを忘れるさま
あたふた ひどくあわてるさま。あわてふためくさま
あっか[古語] あるものに心を奪われて、口をあけたままでいるさま
あっけらかん ①意外な状況に直面したり、あきれはてたりして、放心状態にあるさま ②その場にあるべきものがなく、ただっ広くあいてるさま ③情緒や感興をわきたせることもなく、空虚な印象与えるさま。何事もないようなさま ④当然あるはずの屈託やためらい、恥じらいといった感情がなく、平然としているさま
あっはん 女性が性的な魅力を発散させようとしたり、性的に興奮しているという態度を示すさま
あっぷあっぷ 水に溺れて苦しむさま
あはあは 口を開けて無遠慮に笑う声。また、そのさま
あへあへ 息苦しそうなさま。性的にもだえるさま
あべこべ 物事の位置、順序、方向、関係などが、通常のものと反対であるさま
あやふや ものごとが確かでないさま。曖昧で判断のつかないさま。いずれと決定しないさま
あんあん 人が大きな声を上げて泣く声。または、そのさま。わんわん
あんぐり 驚いたり、あきれたり、放心して、思わず口を開けたままにするさま
※「あ」は自分の内面を口で表現する音。反対に外面・他者に通信する音は「お」となるか
【川をなぜカワというかー日本語生成原理の発見】(渡部正理1999新人物往来社)
※これについては本文参照(渡部正理著)→ホームページ「日本語の起源」
20170819胡
あいがとうげ(相ヶ峠)【日野地△中土佐町大野見槙野々/標高570.5m】
日野地の字名にもなっている相ヶ峠は、日野地と大野見川奥の村境にあり「二つ村が合う峠」と理解したい。また、大野見高山は日野地川上流域にあり飛地のようになっているがこの大野見高山と大野見川奥とがで出会う所の峠の意味もあるか。標高570.5mの四等三角点。点の記による所在は中土佐町大野見槙野々ナガイガ谷山とある。
アイには、①〇と〇の間の意味②二つ以上のものが合う所③相で共同作業、共同所有の意味④川や沼に沈殿している泥⑤近方の漁場⑥村界のアイ(相)の神⑦動詞揺く(あゆく)から崩壊・山崩れ跡⑧鮎の転、などの解釈があり、アエの転訛も考えられる。アエ(饗場)は動詞アヘルから「客をもてなすこと」をいい、神社や朝廷に食料を供給する地、神領地、御料地を「饗庭」という。和えるという調理法もある。野菜や魚に味噌や酢、胡麻などの調味料をまぜあわせることであるが、饗えるに共通した思いが見える。
あいご(相後)【井﨑地区の集落】
四万十川1次支川相後川の中・上流域の集落。長宗我部地検帳に「小野内鮎古村」とある。
あかいわ(赤岩)【木屋ヶ内】
あかさかごえ(赤坂越)【里川】
あかつちごえ(赤土越)【本堂】
あからぎ(赤良木)【木屋ヶ内地区の通称地名・国有林野】
あがわ(吾川)【大正地区の集落】
梼原川が四万十川に合流する右岸の集落で、「大正橋」の行政区に属する。昭和3年(1928)に架橋された「大正橋」はワーレントラスを用いた四万十川に架かる3つの赤鉄橋のひとつで、四万十川文化的景観の重要構成要素となっている。戦後すぐに町営住宅が整備され、その後も建設業者の倉庫や生コンクリートプラントなどが建設された。
幡多郡上山高山ハタ地検帳の田野々村のなかに「(ホノギ)アコウ 卅代 高山畠 アコウ村杢衛門扣 上山直分」とある。
あきぎり(秋伐、アキギリ、秋キレ)【中村、大道、川ノ内】
焼畑地名の一つ。雑木を夏伐って夏焼くことを「夏ヤブ」、秋伐って翌春焼く「秋ヤブ」または「春ヤブ」とがある。焼畑卓越地域では、主食としての稗、粟を栽培する「春焼き」が一般であり、むしろ夏焼きが特殊であった。「秋伐(アキキリ)」は、秋伐って翌春焼く手法のことか。四万十町では「夏焼(窪川)」「夏ヤケ(南川口・市生原)」「夏焼山(与津地)」の字名がある。
あしかわ(足川・芦川)【足川(中神ノ川・中神ノ川)、アシ川(南川口)、足川(江師)、足川山(下道・下津・浦越)ほか】
「アシ」は交通困難な谷の意や墓場、足、葦の意味もある。足谷・芦谷は悪谷で人の入らぬ谷。荒れ地
ありのき(アリノキ・有ノ木・蟻ノ木)【峰ノ上・家地川・七里(柳瀬)・床鍋・黒石・本堂・八千数・古城・】
アリノキはバラ科の落葉高木で梨の別称。ナシが「無し」につながることから嫌い「ありの実」と名付けられたという。平安末期の西行の歌集『山家集(さんかしゅう)』にも書かれている。町内に多数みられる地名
「花の折かしはにつつむしなの梨は一つなれどもありのみと見ゆ」
あんのたに(アンノ谷)【アンノ谷(八千数・平野・弘瀬・浦越・井﨑)、庵ノ谷(大井川)、庵ノ川(魚ノ川)】
十和村教育委員会がまとめた『ふる里の地名』では、井﨑地区の相後集落の字「アンノ谷」について「その昔、谷の奥まった所に修業のためか、又は隠棲した者かは知らないが、庵(いおり)をむすんでいたのではないか。庵は”アン”と云い、庵のある谷と云う事で”アンノ谷”と云う。」と書かれている。
あんめん(庵免)【庵免(瀬里)、アンメン(広瀬)】
地検帳のホノギや字名に多く見られる。寺院運営の費用に充てるための田で年貢の免除地となる。地検帳にはアンメン(東大奈路・土居)、庵免(瀬里・芳川・西ノ川・大正大奈路・木屋ヶ内・下道・戸川・広瀬)がある。
(20211205現在)
■語源
■四万十町の採取地
■町外の採取地