川ノ内

かわのうち

属性:大字

25000地形図/十進緯度経度(標高):久礼/33.290050,133.142436(277)

※四万十町には、別に大正地域の江師に「川ノ内地区」がある


20150608初

20170727胡

【沿革】

 影山城主西和泉守宗勝に家督を譲った父宗澄が川ノ内村に新土居を構えた。城址は尻高山(679m)の国有林地内にある。

 長宗我部地検帳に「川ノ内之村」

 それ以降の地誌である州郡志(1704-1711)には「川之内村 」、南路志(1813)には「川野内村」とある。

 明治22年(1889)4月1日、「明治の合併」といわれる新政府の町村制により、川ノ内村は同じ仁井田郷の七里村・中村・勝賀野村・北ノ川村・市生原村・一斗俵村・中津川村・米奥村・作屋村と大野見郷の日野地村・秋丸村が新設合併し「松葉川村」となった。

 昭和30年(1955)1月5日、高岡郡松葉川村は、 窪川町・仁井田村・東又村・ 興津村と 合併し新設「窪川町」となった。

 平成18年(2006)3月20日、高岡郡窪川町と幡多郡大正町・十和村が合併し新設「高岡郡四万十町」となる。

 

 

【地誌】

 旧窪川町の北東部。四万十川支流、川の内川上流の山間地域。北に大小権現山がそびえる。川の内川は大小権現山に源を発する2つの小さな谷が合流して一本の川となって流れ下るが、集落はこの合流点付近の山際に散在する。須賀神社がある。

(写真は1975年11月撮影国土地理院の空中写真。写真中央部左の南流する勝賀野川の上流域が川ノ内地区) 

 

【地名の由来】

  地名用語語源辞典には『①カワ(川)・ウチ(内)で「山の中を流れる川」②カワ(川)・ウチ(内)で「川の曲流部に挟まれた内側」③カワ(川)・フチ(渕)の転訛で「川のほとり」④カワ(川)・チ(路)で「川沿いの通路」⑤宅地・村落を意味するカイト・カイチ・カワチ(垣内・河内)の転訛』とある。

 「川ノ内」は四万十町内に2か所(他方は、大字江師地内の行政区・川ノ内集落)。十和地域には大字「河内」もある。

 川に沿った小平地と理解すれば、いずれもその地形にあたり、辻重憲氏も『史談くぼかわ・5号』で「渓間の小平地」と当地を説明している。

 川ノ内は、上流域で勝賀野川は川ノ内川と分かれており、挟まれたところに平地が広がっている。また合流点下流域の勝賀野川は東の山腹際を流下するため西側に広い平坦地を形成している。地形のとおり「川に沿った小平地」そのものである。

 

 高知県内の「川ノ内」の分布は、仲川内・中川内(いの町)、川ノ内・上川ノ内(宿毛市小筑紫)

 

 


地内の字・ホノギ等の地名

【字】(あいうえお順)

 秋キレ、イセダ、イノ木谷、井領田、榎田、大切、大久保岡田屋式、オビヤカ谷、カゲジ、神屋式、ガヤノ木、ガヤノ木谷、川久保川原田、クチメ谷、クボヤシキ、栗ミノ窪、コシドノ上エ、ザウザ谷、サカバ、シモカツラ、尻高山、新カイ、神前セイゴ惣ケ谷、惣吾市林、ゾヲザ谷、田カミ、タケノクボ、多助林、田中屋式、天王屋式、天王林、藤五原、堂屋式、飛地、仲谷口、ナゴレ、二本松、東惣ケ谷、平内田、ホトサコ、松屋式道岡、弥掛作リ、柳田、ユキフリダ、ヲキヤシキ、ヲビヤガ谷【51】

 

(字一覧整理NO.順 川ノ内p65~67)

 1尻高山、2シモカツラ、3川原田、4惣吾市林、5堂屋式、6大久保、7神屋式、8神前、9松屋式、10クボヤシキ、11田中屋式、12サカバ、13セイゴ、14ホドサコ、15ホトサコ、16秋キレ、17川久保、18ヲキヤシキ、19岡田屋式、20天王屋式、21井領田、22惣ケ谷、23カゲジ、24東惣ケ谷、25多助林、26榎田、27平内田、28道岡、29天王林、30ヲビヤガ谷、31イセダ、32大切、33クチメ谷、34藤五原、35ガヤノ木谷、36ユキフリダ、37ナゴレ、38柳田、39田カミ、40タケノクボ、41イノ木谷、42二本松、43ザウザ谷、44栗ミノ窪、45弥掛作リ、46仲谷口、47新カイ、48飛地、49オビヤカ谷、50ゾヲザ谷、51コシドノ上エ、52ガヤノ木

※字一覧では「3川原田」を「カワハラダ」とルビがあるが、比定されるホノギは「カワラタ」

※「32大切」から勝賀野境「42二本松」にかけて、比定されるホノギがひとつも見あたらない。勝賀野村のホノギのソウサコヱ、クリミノクホ、柳タ、竹ノクホが推定できることから、現在との境が違うのではないか。

 

【ホノギ】

 ▼是ヨリ川ノ内之村(地検帳仁p168/検地:天正16年2月14日)

 ウタイ谷、ホウノ木野、セイカウ、ヲト井ノモト、中スカ、フルヤシキ、サカハ、タ子ヤシキ、シモ中ハラ、サキキレ、フクノモト谷、アキキリ、柚木ヤシキ、クリノ木ノモト、カチノクホ、中ノサカハ、フタセマチタ、サワサカハ、新井ヤ屋シキ、安楽寺寺中、カンホウ、中の、ミヤウシフン、荒神庵寺中アト、カンホウ、クホヤシキ、チカラタミソ

 ▼是ヨリ東ヘヒトキレコエテ付(地検帳仁p170)

 サイノヲ、マツハヤシキ、ホキヤシキ、中ヤシキ、松葉ヤシキ、ホンテン、コウナイカ、ミソシタ、中ヤシキ、ウナイカミ、カミノマエ、ヲモヤヤシキ、ツホ子ヤシキ、橋爪、ウワキレ、大クホ、中カワラタ、馬ノトヲレ、カワラタ、ク井ノモト、奥カウチ、ソリ、堂ヤシキ、カコ、落合、コキレ、カミヤシキ、カシノコエ、橋爪、ホンテン、コモテン

 ▼是ヨリシモエ返テカケ路ヲ付(地検帳仁p172)

 チカラタ、カミカケチ、山根、カウチヤシキ、藤太夫作、川クホヲキヤシキヲカタヤシキ、アカタヤシキ、弓場、ヲキノコミ、辻堂ノモト、大良五良ヤシキ、ヲカヤシキ、ウワタヤシキ、新土ゐ、天王神主ヤシキ、シモヲカ、太夫ヤシキ、ミヲイ、井領タ、野ソイ

 ▼是ヨリ川ヲ東路ヘ渡テ山ノ根ヲ付(地検帳仁p172)

 シモカイチ、石神ノモト

 是ヨリ又ソウカ谷(地検帳仁p172)

 ソウカ谷、天神宮、ソウマンタ、カミセイモト

 是ヨリ西路ヘ渡テ付(地検帳仁p174)

 九良大良ヤシキ、ホリケヤシキ、クロハサ、鍛冶免、中カイチ、イチウハラタ、道ソイ、クロヲカ、道添、道ノ岡平内タクエノコリ川フチ、ホンテン、ミスミタ、西原フチ、ヨコハタケ、ナカヲレ

 

【地検帳の寺社関連】

 安楽寺

 神地権現(神地大明神)、五社、今宮大明神、ツルキノコンセン、白王大明神、天王、龍王、黄幡大明神、シヤウタイコンセン、今天神、天神

 

ダウンロード
408川ノ内字名一覧表.pdf
PDFファイル 89.0 KB
ダウンロード
408川ノ内全図.pdf
PDFファイル 548.6 KB
ダウンロード
408川ノ内・集成図.pdf
PDFファイル 2.5 MB

【通称地名】

 

 

【山名】

山名(よみ/標高:)

 

【峠】

峠(地区△地区) ※注記

 

【河川・渓流】

勝賀野川(河川調書)

川の内川(河川調書)

二本松谷川(橋梁台帳)

秋代谷川(橋梁台帳)

ガンダラ川(県防災マップ)

 

【瀬・渕】

 

 

【井堰】

 

 

【城址】

 

 

【屋号】

 

 

【神社】 詳しくは →地名データブック→高知県神社明細帳

須賀神社/14すがじんじゃ/鎮座地:天王林

 


現地踏査の記録


地名の疑問


出典・資史料

■長宗我部地検帳(1588天正16年:佐々木馬吉著「天正の窪川」p590)

 村名を川ノ内之村と記録している。枝村をもたない単独の村であったようである。

 検地を行ったのは天正16年2月14日から15日にかけてのこと

・神社

 須賀神社(村社/字天王林鎮座)/合祀:池神社、疫神社、河内神社、劒神社

白皇神社、三熊野神社、天満宮、乗倉神社

黄幡神社、大山祇神社

 境内社:若宮

・寺院

 安楽寺

・シヤウタイコンセン

 シヤウタイは、おそらくミヤウタイであり妙体権現のことと思われ、これは安楽寺の本尊を指すのではなかろうか。(同p599)

・ツルキノコンセン

 ツルキノコンセンは、今の劒神社の旧名劒権現のことであろうが、このツルキの解釈について地検帳では”ツルキ”として濁っていない。したがって”鶴来”の考え方もあろう。わが国の日本武尊にまつわる大鳥信仰は古代からのものであり、窪川町でも鷂(はいたか)をまつった神社二社、鷺をまつった神社一社などがある。(同p599)

 

■州郡志(1704-1711宝永年間:下p287)

 川之内村の四至は、東限奥久禮地村西限北之川村南勝賀野村東西三町南北八町其土黒

 山川は、大小之森、小大谷

 寺社は、牛頭天王社、白皇社、天神社、森之宮

 

■郷村帳(1743寛保3年)

 寛保3年に編纂した「御国七郡郷村牒」では、石高140.345石、戸数22戸、人口134人、男77人、女57人、馬25頭、牛9頭、猟銃0挺

 

■南路志(1813文化10年:③p340) 

188川野内村 仁井田郷本堂之内、又云本在家郷十二村之一也 地百三十九石八斗二舛三合

地神権現 森ノ宮山 正体木形 脇宮惣川内黄幡今宮 祭礼九月十七日

白王権現 白王山 正体木形 祭礼九月十六日

白王権現 ヲカタヤシキ

牛頭天王 天王山 正体木形鉾一本 脇宮ツロキ権現白王権現 祭礼九月十七日

熊野三所権現 クホヤシキ

河内大明神

黄幡明神

若宮八幡

山神 ホウノ木ノタハ

神護山安楽寺 禅宗常賢寺末

 本尊釈迦

古城 西田彦太郎宗勝居レ之。 

 

■ゼンリン社(2013平成25年)

p10:川ノ内、勝賀野川、久保屋敷橋、須賀神社 ※勝賀野川の上流域に「勝賀野川」とあるが、河川調書では「川の内川」

p11:川ノ内、勝賀野川、川内川  ※川内川とあるが、河川調書では「勝賀野川」の上流域となる。

p18:川ノ内、勝賀野川、竹ノ窪橋

p6:川ノ内、勝賀野川

 

■国土地理院・電子国土Web(http://maps.gsi.go.jp/#12/33.215138/133.022633/)

 川ノ内、大小権現山(693.0m)

 

■基準点成果等閲覧サービス(http://sokuseikagis1.gsi.go.jp/index.aspx)

川之内(四等三角点:標高443.77m/点名:かわのうち)東北ノ川字カギガ谷73-6番地 

 

■高知県河川調書(平成13年3月/p59) 

勝賀野川(しょうがの/四万十川1次支川勝賀野川)

左岸・左岸:川ノ内字川原田5

河川平均延長:5,835m / 8.03Ak㎡ / 6.8 Lkm

 川の内川(かわのうち/四万十川1次支川勝賀野川2次支川川の内川)

左岸:川ノ内字サカバ206-2

右岸:川ノ内字セイゴ237-4

河川平均延長:600m / 1.06Ak㎡ / 1.3 Lkm

 

■四万十町橋梁台帳:橋名(河川名/所在地) 

二本松橋(二本松谷川/川の内字二本松614-4)

久保屋敷橋(秋代谷川/川の内字久保屋敷146-1) ※河川調書では「川の内川」

井領田橋(川の内川/川の内字井領田396-1)

 

■四万十町広報誌(平成22年5月号)

ダウンロード
ぶら〜り散策0408【川ノ内】20100501.pdf
PDFファイル 201.4 KB


フォトギャラリー