よくある地名の語源 「せ」

せいもと(セイモト)【大正、羽立川セイモト(家地川)、ヲチハタセイモト(勝賀野)、大西ノ川セイモト(七里)、高野セイモト(七里)、セイモト山(相去)。その他ホノギ、字名では各地】

 土佐で山中の谷合を「セイ」という。対馬では狭い谷のことをサエ(才・佐江)といい、転訛したもの。モトは許できわ・ほとり

 高知県内ではセイモト(いの町小川東津賀才・佐川町甲・佐川町黒岩・須崎市下分・須崎市浦ノ内塩間・津野町久保川・四万十市常六・四万十市山路・大月町芳ノ澤・土佐清水市宗呂)、程ヶ谷セイモト(芸西村和食)、宮ノ上東セイモト(香美市土佐山田町杉田)、金松生元(佐川町丙)、池谷清元(佐川町黒原)、カナイ谷セイモト(四万十市上ノ土居)、西ノ谷セイモト(宿毛市宿毛)、御堂ヶ谷セイモト(宿毛市平田町戸内)とある。多くは〇〇谷セイモトとあり、山中の谷合と理解していいのだが山中の谷合はどこにでもあり、あえて〇〇谷セイモトと名付けた意味を考えてみる。 

 春になり山の神を田に迎える。稲は水が命である。ミトグチから最初に水を取り入れるたを「三角田」といって神聖な領域ととして祭事を行う。その三角の形状は万国共通の聖なる形である。その命の水を小谷から引いてくる起点となるところを「セイモト(清本)」と名付けたのだろう。谷の狭まった所は一点に水が集まる。それも大きな岩や流れが曲がる所は、そこにかけた樋が流されることもなく都合がいい。緩やかな勾配であまり遠くにならず安定した水が確保できるところ。そんな大事な所である。

 香南市夜須町十ノ木では、谷に付された地名に「清本」と「尻」がセットになって地名を残す。例えば、定塚谷清本、定塚谷中、定塚谷尻とか短ヶ尾谷尻、短ヶ尾谷、二短ヶ尾谷、三短ヶ尾谷、四短ヶ尾谷清本が見られる。

(20200523現在)


■語源

 

■四万十町の採取地


■町外の採取地