考現学・平成の土佐一覧記

与惣太の「土佐一覧記」を山本武雄氏が広く世に知らしめた『校注 土佐一覧記』

この山本氏の労著をもとに、往時の土地を訪ね歩く記録が編集子のWeb版「考現学・平成の土佐一覧記」です。

安芸の歌人 川村与惣太

 江戸時代の安芸の歌人・川村与惣太が、東は甲浦より西は宿毛の松尾坂まで土佐一国をくまなく見聞し、その土地の地名や故事とともに自らの歌を寄せた行脚の記録がこの「土佐一覧記」です。

 「土佐一覧記」は、歌で綴った「安永の土佐風土記」でもあるし、「旅行観光パンフレット」でもあるし、古城、史実、寺社の記録を盛り込んだ「博物誌」でもあります。

 

 あれから、250年。

 国のかたちもかわり、豊かな世界と云われる平成の土佐国を、自分なりのものさしで見聞し「今」を切り取ろうと決意しました。 

 与惣太の廻った地をなぞりながら訪ねレポートする「考現学・平成の土佐一覧記」です。

 平成の年号もあと1年なので今年末までにはタイムリーに完了したいと目論んではいるのですが・・

 

 この「平成の土佐一覧記」サイトの開設にあたっては、室戸市教育委員会様には書籍や資料の提供など多大な協力いただきました。お礼申し上げます。

山本武雄著『校注土佐一覧記』の外箱の装丁

背景は土佐国沿岸絵図(寛政6年)の室戸附近



 

土佐一覧記とは

※「校注土佐一覧記」から要旨引用

川村与惣太

 土佐一覧記の著者川村与惣太貞佳。与三太とも書く。

 与惣太の家系・川村氏は、伯耆国川村郷(現在の湯梨浜町の旧羽合町)を所領としていたが、山陰に伸長する尼子氏の攻撃を受け落城。土佐国元村(室戸市元)に来て居住し、長宗我部に属した。

 与惣太は享保5年(1720)に生まれ、幼名を久太郎。

 西寺(金剛頂寺)別当職を52歳で辞し、土佐一国を巡遊し「土佐一覧記」の完成。その12年後、天明7年(1787)1月13日67歳で没した。

 与惣太の弟は野根郷の大庄屋。孫の盈進は近江屋事件で龍馬、慎太郎の手当を行った京都の医者である。

 

歌集

 明和9年(1772)から安永4年(1775)にわたって、東は甲浦から西は宿毛の松尾坂まで、花鳥風月をめで地名・故事を歌に詠み、その土地にちなむ史実等を併せ記載した歌枕が土佐一覧記であり、歌で綴った風土記でもある。(p381)

 川村家の系譜によると、はじめは『土佐道記』と称していたようである。

 一覧記には与惣太の歌569首と古歌111首、それに故事が集録されている。

 与惣太の自作の歌は一覧記のほか「採玉集」に5首、「室戸町誌」に2首を加え576首となる。

 

神社仏閣・名所旧跡のガイド

 一覧記には、寺院が11ヶ所、神社が43ヶ所、滝が6ヶ所、城跡が92ヶ所、山が46ヶ所など神社仏閣、名所旧跡が記録されている。

 

往来と地名

 一覧記は、土佐一国557ヶ所を巡り、当時の地名を記した後に、歌と史実を綴る編集となっている。

 土佐の地誌である「土佐州郡志」の半世紀後、「南路志」の38年前の地名を記録した貴重な文献史資料である。

 一覧記の原本はいまだに発見されておらず、写本が5冊ある。写本であることから、写本する者の個性が反映されており、いずれが正確かは判断しかねるが、今回は山本武雄氏の著書「校注 土佐一覧記」に記載された地名を基本として引用する。

 この山本氏の本は写本の系統でである「図書館本系」と「広谷本系」の相違個所を指摘しつつ、両系統本の欠落部分を相互に補完し、氏の判断で編纂している。

 

ダウンロード
20140201土佐一覧記旅の道順.pdf
PDFファイル 511.0 KB
川村与惣太の墓(室戸市指定史跡)
川村与惣太の墓(室戸市指定史跡)
土佐国道之記(土佐山内宝物資料館所蔵)
土佐国道之記(土佐山内宝物資料館所蔵)
土佐国道之記(土佐山内宝物資料館所蔵/矢立森・上山))
土佐国道之記(土佐山内宝物資料館所蔵/矢立森・上山))
この写本は、広谷系写本
土佐一覧記(文政12年・広谷本系写本・室戸市教育委員会所蔵写真)


このサイトの構成

総論と高知県下の市町村別に章立て

 一覧記の郡別の章立てではスクロールが大変であるため、市町村別にサイトを区分した。 

 

平成の市町村紹介

 市町村役場の所在地・電話番号・hpのURLと公式ホームページからその概要をまとめ、平成の観光地など市町村発行のパンフレット、要覧等を紹介。 

  

「土佐一覧記」に記録された土地の紹介

 地名【よみ】

 現在の住所と十進座標とその土地の写真とキャプション

 与惣太の歌と校注土佐一覧記の主な内容をまとめ、編集子のコメントも加えた。

 

「Web版 考現学・平成の土佐一覧記」

 与惣太の旅程を辿りながらの路上観察

 歩く旅だから見えてくる、その土地の匂いや世相や景観を

 写真と文章でその心象をスケッチするもの

 地名の由来や今を歩く紀行等もコラム風に読み物とします。 

 

このサイトの出版

 このサイトを10年間運営し、一定のまとめとして右欄のイメージで出版する予定です。

 

 みなさんの声で校正していただくことをお願いします。

 


地名の話

 特に解説の必要な一覧記にある地名については、「地名のお話」サイトで詳しく記述します。

土佐国絵図並地高書付(安芸市立歴史民俗資料館所蔵)
土佐国絵図並地高書付(安芸市立歴史民俗資料館所蔵)


フォトギャラリー

 本文に掲載できなかった写真(特に掲示板)をまとめてこのサイトに発表します。(東洋町のイメージ)