「学校資料」とは、学校に所在する資料を中心としたさまざまな歴史資料のことです。全国で学校資料の保存活用が提起されるようになり、「高知でも保存の機運を高めよう」と県内の30・40代の学校事務職員や学芸員、マスコミ関係者らが2019年8月に結成した団体。2020年から県内の教育委員会と連携して、休廃校に残る学校資料の記録・保存活動を行うなど、地域の学校や教育委員会の保存活動を支援しています。
高知県の学校資料を考える会
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本編は、地域と学校という対象的な場所に所在した学校資料の保存活用事例から始め、学校資料を捉える広い視野の必要性を提起した。
学校資料が置かれた状況は自治体や学校、地域、博物館などによって様々である。まずは残すこと(保存)を考え、伝えていく継承につなげるために何が必要なのか、多くの実践例や資料保存のノウハウを蓄積する必要がある。保存については、制度を整えて残すのか、マンパワーで記録するのか、残すための箱(施設)を構えるのか。継承については誰が、どこが主体になるのか、活用は展示か、授業か、地域の人たちを巻き込んでいくのか。
本書には、高知県の実践例を中心に、学校資料を継承するための様々なヒントが盛り込まれているが、「継承」に関する明確な答えを示せたわけではない。教職員や学芸員、図書館職員、公文書館職員、研究者、地域の方々…学校資料に関心を持つ多くの人に読んでいただき、学校資料の「継承」の一助、共に「継承」の方法論を考えていくきっかけとなれば幸いである。
学校資料を
残す・伝える
(2021年10月発刊)
ー小中学校高校に残る地域資料の世界ー
高知県の学校資料を考える会編
高知県内の学校資料調査をもとに、学校資料の魅力を資料集の形式で紹介。約60点の資料を19人の執筆者が解説し、文書管理規程との関係、資料整理や保存、活用の方法なども紹介している。
大津小学校資料の調査速報
―資料にみる学校と地域の歴史―
(2021年2月/土佐清水市中央公民館)
高知県の学校資料を考える会
県立高知城歴史博物館
2021年2月に土佐清水市中央公民館で開催したサークル文化展「旧大津小学校展―過疎地域と学校を見つめて」で、高知県の学校資料を考える会が担当した展示パネル。調査速報の形で、調査成果の一部を紹介
いまなぜ学校資料なのか?
近年、地域の学校に残された様々な資料(学校資料)への関心が高まっています。地域の中心にあった学校で使用された資料には、学校の歴史や地域の暮らしが記述されており、地域史の資料としての重要性が指摘されています。背景には、少子化に伴う学校の統廃合などで、保管された資料が廃棄・散逸の危機に瀕していることがあります。公立小中学校の統廃合が相次ぐ高知県でも二〇一九年に県内の学校事務職員や学芸員らが「高知県の学校資料を考える会」(以下「考える会」)を結成し、学校資料の保存活用の動きを始めました。
シンポジウム
高知県の学校資料を考える
記録集
2019年12月に高知城歴史博物館で高知県の学校資料を考える会が主催したシンポジウムの記録集。
■基調講演
「公文書管理・公文書館と学校アーカイブズ」(嶋田典人)
■報告
「高知県の公立小中学校における文書管理の現状」(目良裕昭)
「追手前高校の学校資料と学校博物館の取り組み(影山千夏)
「学校資料収集の実践と課題―大分県公文書館の経験から―」(高木翔太)
■シンポジウム
「高知県の学校資料の未来を語る」
渡部淳、嶋田典人、影山千夏、高木翔太、目良裕昭